ローランド・ベルガー(Roland Berger)は、ドイツ・ミュンヘンを本拠とする、主要なグローバル経営コンサルの中で唯一、欧州を源流とする戦略コンサルティング・ファームです。MBB(マッキンゼー・BCG・ベイン)と並ぶ戦略コンサルティング・ファームのひとつとして、特に自動車や産業財領域で世界的に強いプレゼンスを持ちます。本記事では、Roland Bergerの公式情報や複数のキャリア情報を突き合わせながら、転職検討者の関心が高い「ファームの特徴」「年収」「転職難易度」「中途採用の選考プロセス」「働き方」「キャリアパス」を、元戦略コンサル出身者の視点で整理しました。業界記事に多く見られる通説をそのまま転載するのではなく、検証可能な事実と内部視点の解釈を区別して記述しています。

1. ローランド・ベルガーとは

1-1. 創業ストーリーとグローバルプレゼンス

ローランド・ベルガーは、1967年に創業者ローランド・ベルガー氏がドイツ・ミュンヘンで設立した戦略コンサルティング・ファームです。現在は世界に50カ所以上のオフィス(公式グローバルサイトでは "over 50 offices"、日本オフィスページでは「55拠点」とも表記されています)を構え、約3,500名の従業員(コンサルタント+スタッフ)が在籍しています。ドイツ系の経営思想を背景に持ちながら、欧州・アジア・北米・中東を中心にグローバル展開しており、Roland Berger自身が「欧州発祥の唯一の主要なグローバル経営コンサルティング・ファーム(the only leading global consultancy of European origin)」と位置づけているとおり、主要なグローバル経営コンサルの中で唯一、欧州を源流とするファームです。

日本オフィスは1991年に開設されました。ローランド・ベルガーがアジアで最初に進出した拠点が日本であり、欧州系ファームとしては比較的早い時期からアジア市場にコミットしてきた点が特徴です。2024年2月には東京オフィスを虎ノ門ヒルズ ステーションタワー35階へ移転し、近年は人員拡大も進めています。日本法人の代表取締役は大橋譲氏が務めています。

1-2. 企業概要テーブル

項目

内容

社名

Roland Berger(日本法人:株式会社ローランド・ベルガー/Roland Berger Ltd.)

創業年

1967年(日本オフィスは1991年開設)

本社

ドイツ・ミュンヘン

世界拠点数

50カ所以上(公式グローバルサイトは " over 50 offices"。日本オフィスページでは「55拠点」との表記もあり)

グローバル従業員数

約3,500名(コンサルタント+スタッフ合計)

日本オフィス所在地

東京都港区虎ノ門2-6-1 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー35階

日本オフィス人員数

約100~150名規模(公式未開示。複数のキャリア情報源が紹介している目安)

日本代表

大橋譲(YuzuruOhashi)

主な事業領域

全産業向けの戦略コンサルティング(特に自動車・産業財・モビリティ・PE・消費財・金融・公共)

1-3. 主要なグローバル経営コンサルの中で唯一、欧州を源流とするファームという立ち位置

戦略コンサル業界の主要プレイヤーは、米国発祥のマッキンゼー、BCG、ベインに加え、A.T. カーニー、ストラテジー&(旧Booz)などが知られていますが、これらはいずれも米国に本拠を持ちます。一方、ローランド・ベルガーは欧州(ドイツ・ミュンヘン)発祥でありながらグローバル規模で展開する、主要なグローバル経営コンサルの中で唯一、欧州を源流とするファームです。

この「欧州発祥」という出自は単なる地理的な違い以上の意味を持ちます。具体的には次の3点が、内部視点から見たRoland Bergerの特徴的なポジションを形作っています。

  • 独立性の維持:他の大手ファームが上場や監査法人グループ・PEファンド傘下に組み込まれていく潮流の中で、Roland Bergerはパートナーが株主として保有する独立系経営体制を維持しています(後述)。
  • ドイツ製造業との近接性:ダイムラー(現メルセデス・ベンツ・グループ)、BMW、フォルクスワーゲンをはじめとするドイツ自動車・産業財メーカーの本拠地で育ってきた経緯から、製造業・モビリティに対する深い知見を蓄積しています。
  • 長期視点の経営支援:欧州型のステークホルダー資本主義に近い思想を背景に、四半期決算的な短期最適よりも、中長期で持続可能な変革を志向する案件スタイルが多く見られます。

戦略ファームと総合ファームの違い、そして戦略ファーム内部での各社の立ち位置については、関連記事「戦略コンサルと総合コンサルの違い」も併せてご参照ください。

同じ戦略コンサルティング・ファームを横断して比較検討している方は、関連記事「マッキンゼーへの転職|選考プロセス・年収・キャリアパス」「ベイン・アンド・カンパニーへの転職|選考プロセス・年収・キャリアパス」「Kearney(ATカーニー)への転職|選考プロセス・年収・キャリアパス」も併せてご覧ください。案件領域とカルチャーの違いが比較できます。

2. 案件・カルチャー・働き方の特徴

2-1. 案件領域:自動車・産業財・モビリティを軸にした全産業展開

Roland Bergerの案件は、特定業界に偏らない全産業横断的な戦略案件で構成されますが、グローバルでも日本でも特に強いインダストリーは「自動車・モビリティ」「産業財・重工業」です。

自動車領域では、同社は"Automotive 2040"イニシアチブのもとで、「Polarized(地政学的分断・地域分極化)/Automated(自動化)/Connected(コネクテッド)/Electrified(電動化)」(頭文字をとって"PACE")というフレームワークで自動車産業の中長期トレンドを発信しています。CASE(Connected, Autonomous, Shared, Electric)時代のOEM・サプライヤー双方に対する戦略支援、新規モビリティサービスの事業立案などが代表的な領域です。

産業財・消費財・PE・金融・公共セクター案件もカバーしますが、日本オフィスにおいては製造業クライアントの比率が他ファームに比して高い傾向があるとされます(公式未開示)。近年はサステナビリティ、サーキュラーエコノミー、生成AI活用といったテーマでの戦略立案も増えていると紹介されています。

2-2. 独自のフィロソフィー:独立性・起業家精神・社員パートナーシップ

Roland Bergerが繰り返し対外的に強調する独自フィロソフィーは、大きく次の3点に集約できます。

第一に、独立系オーナーシップ。 公式サイトでも明記されているとおり、Roland Bergerはパートナーが完全に保有する独立系ファームです("owned entirely by the partners")。会計事務所グループの傘下にも、上場企業のグループ会社にもなっていません。この独立性は、クライアント企業に対する助言の中立性、長期的な投資判断(人材育成・新興市場参入など)の柔軟性を確保する基盤と位置付けられています。

第二に、起業家精神。 同社は「Entrepreneurship(起業家精神)」「Excellence(卓越性)」「Empathy(共感)」の3つを行動原則として掲げています。新興領域に対して自ら手を挙げて切り拓くカルチャーは、同社の対外メッセージでも繰り返し強調されている特徴のひとつです。実際、社員の口コミでも「やりたいプロジェクトやテーマがあれば手を挙げれば任せてもらえることが多い」といった声が紹介されており、自分の関心に沿って経験を主体的に広げやすい環境であることがうかがえます。

第三に、社員パートナーシップ制度。 一定の職位以上のパートナー陣が株主として経営に参加する仕組みは、日本にある外資系ファームの中では珍しく、長期的にパートナーまで上り詰めた場合の経済的リターンが大きい要因のひとつとされています。一方、これは「パートナーになるまでのハードルが相応に高い」ことの裏返しでもあります。

2-3. 評価制度と昇進カルチャー

Roland Bergerの評価制度は、半期に一度の360度評価を中心に運用されているとされています(公式未開示)。直属の上長だけでなく、プロジェクトでともに働いた同僚・後輩からの評価も加味されるため、特定の関係性に依存しない多面的な評価が行われる設計とされています。

職位別の評価軸も異なり、シニアコンサルタント以下の若手は稼働率(プロジェクトに参画している時間の割合)と案件への貢献度が中心、プロジェクトマネージャー以上は売上責任のウェイトが高まる、という構造が一般的とされています。昇進は年次ではなく実力ベースであり、ハイパフォーマーであれば早期に昇進する例もあるとされる一方、戦略ファーム共通の傾向として、本人のキャリア志向と組織側の期待のすり合わせを経て次のキャリアに移ることもあります。

2-4. 働き方とワークライフバランス ―「激務」「やめておけ」という評判は本当か

「ローランド・ベルガーは激務なのか」「ワークライフバランスは取れるのか」は、転職検討時によく挙がる関心事です。

前提として、戦略コンサルティング・ファームである以上、知的負荷の高さやプロジェクトの繁忙期の長時間労働は一定程度避けられません。社員の口コミでも、案件のボリュームが大きく成長スピードが速い反面、繁忙期には労働時間が長くなることがある、という声が見られます。この点はMBBをはじめとする他の戦略ファームと共通する特性です。

一方で、欧州発祥という出自を背景に、米系ファームの一般的なイメージと比べると、働き方や組織風土に独自の色があるとされます。公式の日本オフィス紹介では「全社員が対等な立場で議論を進める文化」が掲げられ、自社を「多様精鋭」な集団と表現しています。役職や年次に関わらず意見を交わしやすいフラットな組織風土は、社員の口コミでも繰り返し言及される特徴です。また、プロジェクトとプロジェクトの間に休暇を取得してオンオフを切り替えるなど、欧州型の生活重視の発想と成果主義を両立させようとする姿勢も紹介されています。

総じて、「一律に激務」というよりも、繁忙期には濃淡があり、その分フラットで主体性を発揮しやすい環境、と理解しておくのが実態に近いでしょう。「やめておけ」といったネガティブな評判は一面的な切り取りであることも多いため、自分が携わる可能性のある案件・チームの実態に即して見極めることが大切です。

2-5. 人材育成

研修体系は、入社時のオンボーディング(数週間規模のキックオフトレーニングが行われるとされます)、職位ごとの集合研修、海外オフィスとの合同研修プログラムなど、グローバルで標準化された仕組みが整備されています。研修後はOJTに移行し、シニアコンサルタントやマネージャーがメンターとして実務を通じて指導する体制があるとされています。日本オフィスからミュンヘン本社や他の海外オフィスへ短期出向するプログラム、海外案件への参画機会もあり、欧州系であることを活かしたグローバルエクスポージャーが得やすい点は、若手にとっての魅力と言えます。

3. 年収・職位体系

3-1. 平均年収と職位×経験年数×年収レンジ

Roland Bergerは公式に年収レンジを開示していません。口コミサイトの集計では平均年収は約1,200万円台とされ、外資系戦略ファームのなかでも高水準に位置づけられます。以下の職位別レンジは、複数のキャリア情報サイトに記載されている水準を突き合わせた推計値である点にご留意ください。実際のオファー金額は、経験年数・前職年収・面接評価・入社時のマーケット状況により大きく変動します。

職位

想定経験年数

年収レンジ(推計・約)

ジュニアコンサルタント

新卒〜入社2年程度

約600万〜900万円

コンサルタント

25〜29歳前後

約900万〜1,300万円

シニアコンサルタント

28〜33歳前後

約1,200万〜1,700万円

プロジェクトマネージャー

30代前半〜半ば

約1,700万〜2,500万円

プリンシパル

30代半ば〜後半

約2,500万〜4,000万円

パートナー

30代後半〜

約3,500万円〜(業績連動で5,000万円超まで大きく変動)

注記:上記は業界記事・転職エージェントの公開情報から推計した目安です。媒体によってはジュニアの下限を約580万円〜、プロジェクトマネージャーの上限を約2,100万円〜とする集計もあり、本記事のレンジはやや高めの推計である点にご留意ください。基本年俸に加え、パフォーマンス連動のボーナスが上乗せされる構成で、特にプロジェクトマネージャー以上ではボーナス比率が高まります。パートナー職は売上連動・株主分配の影響が大きく、年により振れ幅があります。

3-2. 中途入社時の想定エントリー職位

中途採用におけるエントリー職位は、前職での経験内容に応じて以下のように振り分けられるのが一般的です。

  • 第二新卒・事業会社若手(3〜5年):ジュニアコンサルタント/コンサルタント
  • 事業会社マネージャー層・コンサル経験者(5〜8年):シニアコンサルタント/プロジェクトマネージャー
  • コンサル経験者・PE経験者(8年以上):プロジェクトマネージャー/プリンシパル候補
  • 業界エグゼクティブ・他ファームのパートナー候補:プリンシパル/パートナー(経験者採用)

入社時職位は前職年収と直接連動するわけではなく、ケース面接・ビヘイビア面接(行動・志向を問う面接)でのパフォーマンスを踏まえてアサインされる構造です。前職年収が高くても、ケース面接の評価次第で一段下の職位提示となるケースもあります。

戦略ファームを含むコンサルティング業界全体の年収水準との比較は、関連記事「コンサルタントの年収リアル」もあわせてご参照ください。

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4. 選考プロセスと転職難易度

4-1. 転職難易度の考え方

ローランド・ベルガーの選考難易度は、外資系戦略ファームのなかでも上位に位置します。MBBに次ぐ戦略ファームのなかでは引き続きトップクラスと位置づけるのが妥当で、ケース面接の難易度・ビヘイビア面接での評価ハードルはいずれも高水準です。近年、日本オフィスは採用規模を拡大しているとの業界情報がありますが、採用数が増えたからといって選考基準が大幅に緩和されたわけではなく、「枠は増えたが質は妥協していない」というのが複数の業界情報を総合した実態に近いと考えられます。一方で、コンサル未経験でも、事業会社で培った専門性や論理的思考力をケース面接で示せれば十分に挑戦でき、20代・第二新卒からの転職事例も報告されています。

4-2. 選考フロー全体像

中途採用の選考フローは、概ね以下のステップで構成されます。

ステップ

内容

目安期間

書類選考

履歴書・職務経歴書/応募フォーム上で志望動機を求められることが多い

1〜2週間

Webテスト or 録画面接

中途採用ではファーム独自のオリジナルテストが用いられる。省略して面接に進む場合もある

1〜2週間

一次面接

ケース面接+ビヘイビア面接(マネージャー〜プリンシパル層)

2〜4週間

二次以降の面接

ケース+ビヘイビア複数回(パートナー含む)

4〜8週間

最終面接・オファー

日本代表または上位パートナーが関与するケースが多いとされる

1〜2週間

応募から内定までの全体期間は、おおむね2〜4ヶ月程度(長くても半年程度)を見込むのが現実的です。準備期間(ケース面接対策・職務経歴書のブラッシュアップ)を含めるとさらに長くなります。

4-3. Webテスト/ケース面接の特徴

中途採用の適性検査は、市販の形式ではなくローランド・ベルガー独自のオリジナルテストが用いられます。出題形式や設問数は公開されていないため、直近どのようなテストが行われているかは、選考実績を把握している転職エージェントに確認してから準備を始めてください。適性検査全般の考え方と、形式別の対策の進め方は関連記事「【2026年版】コンサル転職のWebテスト対策完全ガイド」も参考になります。

ケース面接については、Roland Bergerの特徴として以下のようなテーマが好まれる傾向があるとされています。

  • 製造業・モビリティ業界に関するケース:自動車メーカーの中長期戦略、サプライヤーの新規事業立案、EV市場参入など
  • 身近な産業に関するケース:百貨店、映画館、料理教室の売上向上、アウトドア業界の活性化など
  • 市場規模推定(フェルミ推定):論理構造と仮説検証プロセスの両方が見られる
  • 新規事業/成長戦略系:単純なコスト削減ではなく、長期的な事業構築の論理が問われやすい
  • 実行可能性を伴うソリューション:きれいなフレームワークだけでなく、現場で動かせるかという視点が重視される

評価軸は、構造化力、仮説思考、定量感覚、コミュニケーション、ビジネスセンスなど他の戦略ファームと共通する部分が大きい一方で、Roland Bergerでは「実装可能性・現実感」「業界理解の深さ」がより重視される傾向があると言われています。また、結論の正確性そのものよりも、問いの立て方や、面接官とのディスカッションのなかで仮説を柔軟に修正していく対話姿勢が評価されやすい、という指摘もあります。

ケース面接の事前準備の進め方については、関連記事「ケース面接対策:準備の始め方」をご参照ください。動機・志望理由・チームワークなどを問うビヘイビア面接の準備については、「ビヘイビア面接の完全対策」が参考になります。市場規模推定(フェルミ推定)の練習問題は、関連記事「フェルミ推定ネタ100選」にまとめています。

4-4. 求められる英語力(欧州系であることの含意)

Roland Bergerは欧州系グローバルファームであり、社内のグローバルプラットフォーム(ナレッジ共有、グローバル会議、海外オフィスとの協業)は基本的に英語で運用されます。日本オフィスの日常業務はクライアントの大半が日本企業のため日本語ベースですが、以下の場面で英語力が求められます。

  • グローバルチームによる案件参画時の英語ドキュメント作成・会議参加
  • 海外オフィスとのクロスボーダー案件における日常的なメール・電話・テレカン
  • ミュンヘン本社やアジア地域のオフィスとのナレッジ共有・研修参加

英語水準としては、ビジネスレベル(TOEIC 800点台前後を目安)の読み書き・会話力があれば実務上は支障が出にくいとされます(公式の要件ではなく実務上の目安です)。MBB各社と比較しても、入社時に求められる英語力の水準は大きくは変わりませんが、入社後にグローバル協業の機会は相応に発生するため、継続的に英語に触れる姿勢は必要です。

4-5. 求められる人物像・向いている人

選考プロセスを通じて評価される人物像は、ファーム公式メッセージや業界情報を総合すると、概ね以下のような要素にまとめられます。

  • 論理的思考力と構造化能力:ケース面接の中心となる基礎能力
  • 仮説検証思考と実行志向:分析のための分析ではなく、現実に動かす視点
  • 起業家精神(Entrepreneurial Spirit):自ら案件・テーマを切り拓く姿勢
  • クライアントへの共感力(Empathy):同社のバリューに掲げられる重要要素
  • タフネス(精神的・身体的):高い知的負荷とプロフェッショナリズムへの対応力
  • 業界知見(特に製造業・モビリティ・PE経験):必須ではないが、即戦力性の評価に直結

これらは概念としてはどの戦略ファームでも語られますが、Roland Bergerでは「Entrepreneurship」「Empathy」が他社よりも明確にバリューとして掲げられている点は、選考準備上知っておく価値があります。フラットで自走を歓迎する風土であるため、中長期で産業や社会課題に向き合いたい人、自分で手を挙げてテーマを切り拓きたい人と相性がよい一方、明確なトップダウンの指示を前提に動きたいタイプの人には、自由度の高さがかえって活きにくい場面もあるかもしれません。

5. キャリアパスとポストRoland Berger

5-1. 在籍中に獲得できる3資本(スキル/専門/人的)

Roland Bergerでの在籍経験を通じて得られる資本は、大きく次の3つに整理できます。

スキル資本:戦略立案、フェルミ推定、市場分析、財務モデリング、エグゼクティブコミュニケーション、プロジェクトマネジメントといった、戦略コンサルタントとして標準的なポータブルスキルが体系的に身につきます。同社の場合、実行可能性を重視するカルチャーから、机上の戦略にとどまらず、実装フェーズに踏み込んだ経験を積みやすい点が特徴と言えます。

専門資本:自動車・モビリティ、産業財、消費財、PEなどの特定領域における業界ナレッジ。特に製造業領域については、グローバルナレッジの蓄積量が業界でも有数であり、業界の構造変革に伴走する経験を通じて、当該領域での専門性を深く築くことができます。

人的資本:パートナー・プリンシパルを含む先輩コンサルタントとの関係性、卒業生(アルムナイ)ネットワーク、クライアント企業の経営層との関係性。Roland Bergerはグローバルでも独立系を保つことで、長期的に在籍するパートナーが多く、ネットワークの密度が一定保たれている傾向があります。

5-2. ポストRoland Bergerの主な進路

Roland Berger出身者のキャリアパスは、戦略ファーム卒業生に共通するパターンを取ります。同社特有の傾向としては、製造業・モビリティ領域における事業会社経営層、PE投資先のCxOといった進路に強みがあると考えられます。

  • 事業会社の経営企画/経営層:特に自動車・産業財・消費財メーカーの経営企画部長、事業部長、上級執行役員クラス
  • PEファンド/投資先企業のCxO:投資先のオペレーション改善、ターンアラウンドを担う役割
  • スタートアップ/自身での起業:モビリティ・ディープテック領域でのCxO就任、起業
  • 他コンサルティング・ファーム:MBBや他の戦略ファーム、ブティック系ファームへの移籍
  • 社内昇進(パートナーへの道):実力主義のもとで長期的にパートナーまで上り詰めるパス

ポストコンサルキャリアの全体像と進路ごとのトレードオフについては、関連記事「ポストコンサルのキャリアパス」で詳しく整理しています。

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【Q&A】ローランド・ベルガー転職に関するよくある質問

Q1. Roland BergerはMBB(マッキンゼー・BCG・ベイン)と何が違いますか?

A. 戦略コンサルとしての基礎的なメソドロジーやプロフェッショナリズムの水準は、MBBもRoland Bergerも大きく変わらないと考えてよいでしょう。違いが顕在化するのは「出自」と「経営構造」です。MBBは米国発祥で、グローバルブランドとしての認知度・採用規模・案件規模で先行しています。一方、Roland Bergerは欧州(ドイツ)発祥で独立系オーナーシップを維持しており、製造業・モビリティ領域での専門性と、長期視点の支援スタイルに強みを持ちます。また、案件規模はMBBよりやや小さくなる傾向も、その分一人当たりの責任範囲が広いと評する声もあり「別ポジションのファーム」と捉えるのが妥当です。

Q2. 欧州系であることは、日本オフィスでの働き方にどう影響しますか?

A. 日本オフィスのクライアントの大半は日本企業であり、日常業務は日本語ベースで進みます。欧州系であることのメリットは、(1) 自動車・産業財をはじめとする欧州メーカーのグローバルナレッジに日常的にアクセスできる、(2) ミュンヘン本社や欧州オフィスとのクロスボーダー案件参画機会がある、(3) 米国流とは異なる経営思想(ステークホルダー資本主義寄り、長期視点)に触れられる、といった点に表れます。一方、米系ファームに比べて日本オフィスの規模はやや小さく、その分一人ひとりの裁量と責任が大きくなる傾向があります。

Q3. ローランド・ベルガーは激務ですか?ワークライフバランスは取れますか?

A. 戦略ファームである以上、繁忙期の長時間労働や知的負荷の高さは一定程度避けられず、この点は他の戦略ファームと共通します。一方で、欧州発祥らしく、全社員が対等に議論するフラットな文化や、プロジェクト間に休暇を取ってオンオフを切り替える発想など、生活重視の姿勢と成果主義を両立させようとする特徴も紹介されています。「一律に激務」というより、繁忙期に濃淡があり、その分フラットで主体性を発揮しやすい環境と捉えるのが実態に近いでしょう。働き方の合う・合わないは案件・チームによって変わるため、評判の言葉だけで判断しないことが大切です。

Q4. 英語・ドイツ語はどの程度必要ですか?

A. 英語はビジネスレベル(TOEIC 800点台前後)を目安とするのが現実的です(公式の要件ではなく実務上の目安です)。社内グローバルプラットフォームは英語で運用され、海外オフィスとの協業時には英語での読み書き・会話が必要になります。ドイツ語は必須ではなく、選考要件として課されることは通常想定されません。本社がミュンヘンにあるとはいえ、社内公用語は英語です。ドイツ語ができれば一部の場面で有利になる程度と考えてよいでしょう。

Q5. 自動車・産業財業界のバックグラウンドは必須ですか?

A. 必須ではありません。Roland Bergerは全産業をカバーする戦略ファームであり、消費財、金融、PE、公共セクターなどの案件も多く存在します。ただし、自動車・モビリティ・産業財領域での経験者は、入社後に即戦力として評価されやすい傾向があります。逆に、これらの業界経験がない方も、ケース面接でロジカルに業界理解を組み立てる能力を示せれば十分に内定可能性があります。入社後にOJTで業界知識を獲得していく若手も多く存在します。

Q6. MBAは取得していた方が有利ですか?

A. MBAは「あれば有利」ではありますが、必須要件ではありません。MBA取得者向けのキャリア採用枠(プロジェクトマネージャー相当)も存在しますが、事業会社での実務経験やコンサル経験を通じて同等の素養を示せる場合、MBAなしで同等の職位オファーを得るケースもあります。MBAの活用価値は、(1) 海外でのネットワーク、(2) ケース分析・財務会計の基礎力、(3) 戦略フレームワークの体系的習得、にあると整理できます。Roland Bergerに限らず、戦略ファーム転職におけるMBAの優先度は、近年やや相対化されてきている、というのが業界共通の見方です。

Q7. 採用人数は近年増えていると聞きますが、難易度は下がっていますか?

A. 近年、日本オフィスが採用規模を拡大しているとの業界情報はありますが、選考基準そのものが緩んだわけではありません(難易度の全体像は第4章「転職難易度の考え方」を参照)。ケース面接・ビヘイビア面接のハードルは引き続き高く、「枠は増えても質は妥協していない」と捉えるのが現実的です。むしろ採用を広げている局面は、十分に準備を整えた候補者にとってはチャンスが広がるタイミングとも言えます。

Q8. 学歴フィルターはありますか?採用大学の傾向は?

A. ローランド・ベルガーは、応募資格を特定の大学に限定する公表された基準を設けていません。結果として難関大学の出身者が多い傾向はあるとされますが、選考の合否はケース面接や職務経歴の評価が中心であり、学歴だけで決まるものではありません。学部・専攻も不問で、文系・理系を問わず多様なバックグラウンドの人材が活躍しているとされます。出身大学そのものよりも、実務経験や論理的思考力をケース面接で示せることのほうが重要です。

まとめ

ローランド・ベルガーへの転職検討にあたり、押さえておきたいポイントを5つに整理します。

  1. 主要なグローバル経営コンサルの中で唯一、欧州を源流とするファームとして、独立系オーナーシップと長期視点の支援スタイルが、米系ファームとの差別化要因。
  2. 自動車・モビリティ・産業財領域でグローバルに強く、製造業バックグラウンドを持つ方には特に親和性が高い。
  3. 年収水準は口コミ集計で平均約1,200万円台、職位ごとに約600万〜5,000万円超まで段階的に上昇する設計(推計値)。若手〜中堅の基本レンジはMBBと同等水準とされる一方、パートナー上限の振れ幅やブランドプレミアムではMBBが先行する点には留意が必要です。
  4. 転職難易度はMBBに次ぐ上位クラスで、採用拡大下でも選考基準は緩んでいません。選考プロセスは書類選考・Webテスト(または録画面接)・複数回のケース/ビヘイビア面接で構成され、所要期間はおおむね2〜4ヶ月程度。実装可能性と業界理解、対話姿勢を重視するケースが特徴。
  5. ポストRBのキャリアは事業会社経営層、PE投資先CxO、起業など多岐にわたり、特に製造業・モビリティ領域での専門性を活かす進路に強みがある。

VOLVEは、戦略コンサル業界出身のアドバイザーが、ローランド・ベルガーへの転職をご一緒します。業界記事や転職口コミだけでは見えにくい、内部から見たカルチャー、職位ごとの実態、案件アサインの実像、ポストコンサル進路の現実的な選択肢について、フラットにお話しできます。

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参考文献・出典

  • Roland Berger公式サイト「Who we are」 https://www.rolandberger.com/en/About/Who-we-are/
  • Roland Berger公式サイト「Our Values」 https://www.rolandberger.com/en/About/Our-Values/
  • Roland Berger公式サイト 日本オフィス紹介 https://www.rolandberger.com/ja/Locations/Japan/About/
  • Roland Berger公式サイト Japanキャリアページ https://www.rolandberger.com/ja/Locations/Japan/Join/Your-Opportunity/Professionals/
  • Roland Berger公式 Insights「Automotive 2040」 https://www.rolandberger.com/en/Insights/Global-Topics/Automotive-2040/
  • Roland Berger公式プレスリリース「オフィスを虎ノ門ヒルズ ステーションタワーに移転」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000076.000020895.html

※本記事の年収・選考プロセス等の数値情報には、公式に開示されていない推計を含みます。実際のオファー条件・選考運用は時期および個別ケースで異なるため、最新情報は公式採用ページにてご確認ください。

(本記事は2026年8月時点の公開情報をもとに作成。2026年5月の内部ファクトチェック、および2026年6月のファクト再検証・SEO最適化を反映)

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